独竜罪種　ヴァリザード

時は　現在20世紀日本・・・　
光と情報が進み　人の英知の栄えたる地・・・

だが・・・どのような時代に進もうと　人が神でない限り、

光の当たらぬ場所、人の目に触れざる場所は生まれ、

得てしてソコは『人ならざるもの』の舞台となる・・・

・・・・・・・・・・シーン　03　・・・・・

そこは　人里から遠く離れた深緑の森
うっそうと茂る木々は　日の光を　さえぎり
昼間だというのに　薄暗く　ひどく湿っぽい。

鳥の声も　蝉の声も聞こえぬ静寂の中
対峙するは　異形の者　二つ
・・・いや　「対峙していた」が　正しいか。
決着は　既についていた・・・　

・・・・・・・・・・・・

『まさか・・・我が爪を喰らいながら　回復するとは・・・』

同感だ　コイツの爪は厄介だった
その切れ味も無論のこと溶解液が分泌されていたらしい。
溶かされた　俺の片足と右目は　完全に治っていない。

『・・・・・ヴァリザ・・・主は　化物かっ？・・・・・・』

アア、それを　否定をする気は毛頭ない
人と同じ　二本の腕と足を持ちながら
その皮膚は　蜥蜴のように硬く、闇のように黒い
しかも　尻尾や角まではやしている。

だが　それも　こちらのセリフだ　クモヒトモドキ
4本の腕をへし折り、2本の腕を引きちぎり
腹部に大きな風穴まで空けたというのに
コイツは　まだ唸ってやがる。

『「だが　なぜそれほどまでの力を持ちながら、人に組する？
ヤツラに媚を売り　仲間にでもしてもらうつもりか？』

・・・・・・・・

『うつけが。ヤツラは　地球の有害種だ
地上に我が物顔ではびこり　海を汚し　大地を枯らし　大気を穢す。
万物の霊長と思い上がり、挙句の果てに　仲間同士で殺しあっておる。
そんなものの為に闘うなど　くだらぬことだと思わぬか？
わからぬ　なぜお主は　本能を忘れ　役目にそむき、我らを・・・』

・・・・オマエ・・・

『ぬ？」

お前が　ヒトを食うのは　地球の平和ごときの　為か？

『・・・・・・・・・チッ　やはり　貴様は狂ーーー』

ガシュ！！

残った頭を踏み潰した
これで　コイツの長話を　聞かなくてすむ
声に　イラつくこともない

ああ、　お前に言われずとも理解している

俺は　ヒトと　ヤツラと　かけ離れた
世界から外れた　狂った存在

だが　
自身を否定するつもりはない。

理由など　当に忘れた
正義など　使う必要もない　
ただ　全ては俺のあるべきままに
貴様ら　ヒトモドキをコロシ続ける。

やがて　世界に否定されるまで
・・・俺が　くたばるその日まで・・・

（エピソードＣ　Ｆｉｎ）

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